ここでつくる米を地元では「入り水の米」といいます。 「入り水の米はうまい」と昔からいわれるとおり、米の味は「水」でつくられます。
水のあるところに人は住む。水のあるところに米は育つ。
水が生まれる山間地域の米つくりは日本の心と風景をつないできました。
しかし今、人の暮らしは変わりました。暮らし方が変わると風景が変わります。 山間の美しい棚田が植林の山に消えています。 わたしたちは、この風景をなんとか次の世代につなぎたい。
その思いを込めて、水と土とやりとりしながら、昔に学び、あたらめて米つくりをはじめます。
四万十中流域は水が生まれるところです。米づくりをつなぎながら四万十の心と風景を残していたいのです。
しかし今、山間では農家の高齢化と過疎により日本の原風景が失なわれようとしています。農村の風景は長い間続けられてきた米つくりによって作られました。米つくりは山間の農的生活文化そのものです。
つまり風景が消えてしまえば、何百年も継承されてきた道具や知恵がなかったことになってしまう可能性があります。さらに、大きな市町村合併の中で、四万十川中流域という広域の文化も見えなくなってからでは取りかえしがつきません。
もう一度、米つくりを見直したい。そのことは、地域や文化や生活を見直すことにつながり、水という万物の根源を生み出す地域に住むことの「豊かさ」を保ち続けることにつながります。